授業力で日々勝負しています


学力検定のこと(教室長のつぶやき)





以前は統一した基準なく、各検定機関によりバラバラに実施されてきた各種学力検定ですが、文部科学省の指導もあり、最近では1級・2級・3級といった各級の目標レベルが、それぞれ大学卒業・社会人程度、高校卒業程度、中学卒業程度・・・等に分かりやすく揃えられてきました。また主要な検定では、試験日の重なりがかなりの程度回避されているようにも思います。

主要3科目(英・数・国)についてみると、小中高生を対象とする主要な学力検定には以下のようなものがあります(他にもたくさんあります)。


★ 英語  実用英語技能検定(STEP英検)
 国際連合公用語英語検定(国連英検)

★ 数学  実用数学技能検定(数学検定・算数検定)
 算数・数学思考力検定
 統計検定

★ 国語
 (漢字)
 日本漢字能力検定(漢検)
 漢字習熟度検定(漢熟検)
 日本語検定
 語彙・読解力検定


学校の中間・期末テスト対策だけでも大変なのに、検定なんて・・・と尻込みされる方も多いかも知れません。けれども、積極的な検定受検はお子様にとって、いい影響づくめです!



@高校受験、大学受験の力を自然に鍛えることができる


これは、容易にお分かりのことと思います。

A合格による実力を、全国統一の認定級で証明してもらえる


「あいつ、○級取ったんだって」「へえ〜、すごいんだね」
という会話が公平な意味を持つように、各種機関が認定してくれます。

B高校受験、大学受験で、内申点の加点事由になる


まだ案外知られていないと思いますが、多くの私立校で上位級保持者を優遇する制度があります。ホームページ等で公開されていると思いますので、試しにのぞいて見られると良いと思います。

C認定級の取得が、お子様のさらなるやる気をかきたてる


お子様のチャレンジ精神を育てる・・・スキーやなわ跳び、けん玉の級同様、昔からこれが受検動機の最大の根源です。

D優秀な成績が特別に表彰される場合がある


漢字検定の「満点賞」がポピュラーな例で、別に賞状がいただけます。他に、表彰式を開いてもらえるような賞も検定によってはありますが、その回のその級の受検者の中で日本上位数名、という厳しい難関である場合が多いと思います。

E他流試合のよい練習場になる


あまり語られることがありませんが、私見では、決して安くない受検料をかけてわざわざ受検場に出向く価値のかなりの部分は、ここにあると思っています。




高校・大学受験の試験場の雰囲気には独特のものがあります。

生涯一度、全員横一線で受ける競争試験。この席に着くまでにみな3年、6年がかりで厳しい試練に耐えて来ています。それでも、競争率を3倍とすれば、居並ぶ賢そうな生徒のうち3人に1人しか合格できない。地方・遠方の学生なら(私もそうでした)電車の切符と前日の宿を手配して、前泊して臨みます。郷里の学校の先生、塾・予備校の先生の激励を受け、みな必死の覚悟(悲壮な、と言ってもいいでしょう)で集まって来ています。

この一発勝負の場で、普段培って来た実力が出し切れるかどうか、で自分の未来のかなりの部分が決まるわけです。異様な雰囲気を前にして「緊張するな」と言うほうに無理があるというものです。

「雰囲気に慣れる」、対策にはこれしかありません。ですから、高校受験、大学受験に限らず、受けられる模擬試験は極力受けるよう指導しています。もちろんできて自信を深める、できなかった問題を復習して理解するという実利の点も大切ですが、模擬試験は他校の生徒とともに挑む「他流試合の場」を提供してくれる貴重な機会だからです。試験によっては「雰囲気づくりのため、制服着用で受験して下さい」と指定するものもあります。誠に子どもたちにとって有り難い配慮だと思っています。

何度もそうした異様な雰囲気に身を置いて、時間内に全力を出し切る練習を繰り返すことによって、いい意味で「緊張感が麻痺」して来ます。経験を積んでいくうちに、「自分も確かに緊張はしている。けれども、そうした受験場の緊張感を、局外者のような目で客観的に楽しめる」ようにさえなって来ます。「名人は危地に遊ぶ」という心境に似ているかも知れません。

模擬試験の多くは学校の教科書の進行に左右される側面があるため、主に中3、高3が対象です。しかし、小学生でも、また受験を控えた子どもたちでなくても、我々社会人であっても同種の雰囲気を提供してくれる貴重な機会はあります。それが「検定」というものだと思っています。 

当塾では、そうした観点に立って、検定受検を子どもたちに積極的に勧めています。

  ・各種検定の内容、特徴
  ・受検申込みの手続方法、受検地の選び方、合否判定のシステム
  ・自分の子どもの現在の実力なら、どの級を受けるのがよいか
  ・効果的な学習方法、おススメの参考書

等、塾生・保護者の皆様に随時アドバイスを行っています。授業で実際に検定問題を取り上げて解説することもあります。

講師自身が自らの研鑽を兼ねて、上に挙げたものを含むさまざまな検定にリアルタイムにチャレンジを続けているからこそできることでもあります。ヴィヴィッドな受検場の雰囲気や本番の心理を、直接経験した者の言葉でいつも塾生たちにフィードバックするよう心がけています。

 余談ですが、検定の種類や受検級によって、受検される方の属性が大きく異なり、受検時に大変興味深く見ています。主に上位級(2級以上)に限りますが、例えば国語系検定の受検者は多くが女性の方なのに対し、数学系検定は級が上がるほどに男性の比率が圧倒的になります。また同時に数学系検定は大学生・大学院生といった若年層が多いのに対し、漢字系検定は若年層から年配の方まで非常に幅広い年齢層の方が受検されます。男女比もかなり5割に近く、「生涯学習」を体現しているようです。個人的には、検定受検はとてもよいヒューマン・ウォッチングの場ともなっています。これが「危地に遊ぶ名人の心境」ならば良いのですが。